2021年5月12日水曜日

#京の食べ物探索#【08.善き哉、此の汁「善哉」】

京の食べ物探索【08.善き哉、此の汁「善哉」】


 「善哉此汁(善きかな、此の汁)」

 「善哉」とは本来仏教用語らしく、仏陀が弟子の言ったことに「善き哉(かな)」と賛同を示したときの言葉だという。あるとき一休禅師が、大徳寺の僧から小豆汁に餅を入れたものを饗されて、おもわず「善哉此汁(善きかな、此の汁)」といったという言い伝えがある。

 「一休宗純」は、室町時代の臨済宗大徳寺派の僧で、ある夜にカラスの鳴き声を聞いて俄かに大悟したとされる。詩、狂歌、書画などにもすぐれた文人であり、さまざまな逸話を残す風狂の生活を送った。

 その奇抜な言動から、『一休咄』に代表される一休さん頓知咄(ばなし)の素材となり、「世の中は起きて箱して(糞して)寝て食って後は死ぬるを待つばかりなり」とか「南無釈迦じゃ 娑婆じゃ地獄じゃ 苦じゃ楽じゃ どうじゃこうじゃと いうが愚かじゃ」といった禅問答風の言葉が残されていたりする。

 臨済宗大徳寺の住持に任ぜられ、戦乱で荒れた塔頭の再興に尽力した。晩年には、いまの京田辺市薪(たきぎ)地区に草庵「酬恩庵」を結び、後に「酬恩庵一休寺」と呼ばれるようになった。それにちなんで、一休寺では、毎年1月最終日曜日を「一休善哉の日」として、奉納行事とともに善哉をふるまっている。
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 この「善哉(ぜんざい)」を、関東では「汁粉(しるこ)」と呼ぶらしい。その分布は、意外にシンプルに東西で分かれているようだ。ちなみに関西で「汁粉」というと、こし餡のものになり、関東では、こし餡のが「御前汁粉」、つぶ餡のが「田舎汁粉」と呼ばれる。さらに関東の「善哉」は、ほとんど汁気のないつぶ餡に餅を入れたもので、関西では「亀山」という。

 かくいう善哉も、正月以外にはめったに食べられないものとなっている。

  ぜんざいや 昭和は遠く なりにけり  半休


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